思考のフィールド感覚

思考空間なるものがあるとして、早めに「逆」を考えておくことは、両端を考えることになるので、ひとまずの「フィールド」が設定される。そこが「逆」の便利なところだよなあと、ぼんやり考えていました。個人的な感覚なのか、みなさんも同じなのか、よくわかりませんが、そのフィールドの中で、あれこれと考える素材を操作する感覚です。

あるとき、何かのキャッチコピーを考えていたら、シンプルな英文と日本語が混ざって、言葉のコントロールミスをしたことがあります。ちょっとメモを探さないと具体例が思い出せないのですけど、とにかく語順を混同して、記憶違いを起こしたんです。そのときに、これって配置の問題であり、チャンスでもある、と思いました。

頭の中で素材をゴニョゴニョと動かすことには限度があって、あまり複雑なことはできませんよね。せいぜい縦横斜めの位置関係をいじったり、足し引きしたり、差し替えたり、といったところじゃないでしょうか。また、数が多すぎても管理しきれなくなる。せいぜい一度に数個。もちろん、個人差はあるでしょうし、訓練によって高められる部分もあるのかもしれません。でも普段は、この自覚的になることの難しい、局所的な能力にフォーカスしないので、そこに限って訓練しようとは思わない。では、どうしているかというと、紙に書いたり、図にしたり、画面にタイプしたりするんじゃないでしょうか。僕もそうです。だけど、生活の多くの場面では、瞬間的に頭の中でやっちゃうことが多い。

何をやっちゃっているのか。そこが関心の対象でして、「ゴニョゴニョする」を「配置を遊ぶ」くらいには置き換えたい。そう考えました。なぜなら、発見が生まれそうだから。自覚と無自覚を行き来できそうだから。発見の内なる純度が高そうだから。それは何度経験しても、飽きない類いの嬉しさなんじゃないか、と思ったのです。こうして制作したのが、文法リバーシ人生リバーシです。

両リバーシについて、全てを説明していたら時間がかかってしまうので、言葉の組み合わせについて触れておきます。カードの裏と表に抱き合わせにしている言葉は、カードがひっくり返ったときに、盤面の周囲の言葉とつながりやすくなるように選んでいます。表と裏の言葉は、単に対義語ということではなく、多様な意味での「逆」を設定しています。

それから、一枚のカードだけで逆の意味が提示されるのではなく、ひっくり返したときに、程度の違いほどの変化しか起きないものもあります。しかし、周囲の文章群の中でほんの一部が変わっただけで意味が逆転する、ということも起きるのが、言葉の世界の面白いところです。

そんな体験の中で、カードを配置しているのか、書いているのか、感覚の混ざり合う瞬間が訪れます。そのとき、まだカードが配置されていないマスは、自分のために開かれている、埋めるべき「空欄」に見えてくるはずです。

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