究極の使用法!?「詰リバーシ」:ユーザーズガイド03
文法リバーシの究極の使用法とは、どんなものになるでしょうか。 備わっている特徴を余さず活用したものになるのではないか。これは、取り組み甲斐のある仮説であるように思われます。さっそく考えてみましょう。 文法リバーシのカードには、白い面に1から64までの数字が割り振られています。 すべてのカードをボードの左上から順に置くと、カタルタの使い方が4通り現れること、また、すべてのカードを黒い面にひっくり返すと、別の4通りの使い方が現れることをユーザーズガイド02でご紹介しました。 すべてのカードを盤面に置いたとして、真ん中の4枚を盤面に残し、他のすべてのカードを取り去ってしまうと、画像のような配置になります。 真ん中にくるのは、28、29、36、37のカードです。 こちらの4枚は、あくまで配置上、真ん中にあるという理由で抜き出されたものなので、言葉の組み合わせとしては十分な意味をなさず、全体から切り離された断片にすぎません。しかし、白黒が交互になるように2枚裏返すと、ある一つの可能性が見えてきます。 この配置をそのままリバーシの開始時の4枚として使ってみたらどうなるでしょう? 続いて白か黒のカードが1枚、盤面に追加されることになりますが、その位置は当然、同じ色のカードを挟み込めるマスに置くのがリバーシのルールです。このとき、文章全体が言葉のパズルになっていることを同時に活かす方向性が考えられます。 全体のマスに1から64の数字が割り当てられているわけですから、カードの数字とマスの数字を合わせるという制約を設ければ、置きどころは1箇所に限られます。 問題は、カードを置くタイミングです。あくまでゲームのルールに則ってマスにカードを置きます。カードの置きどころは決まっているけれど、どのタイミングでどこに置くかはゲームの進行に委ねるのです。 詰将棋ならぬ詰リバーシといったところでしょうか。ただし、詰将棋とは異なり、文法リバーシには必ずしも一つの「正解」が存在するわけではありません。ここでは、戦略や解釈によって多様な「正解」が存在するため、それぞれのプレイが独自の意味を持ち得るのです。 白と黒のカードを2人のプレイヤーで分けると話がさらに複雑になるので、ここでは一旦、1人で白役と黒役を兼ねて進める例で説明を進めます。 ゲームが終わったとき、つまり、カードをすべて配置し終えたとき、パズルの元絵であるカタルタの取説テキストの変形バージョンが現れます。一つのマスに黒と白のどちらが置かれるかは、リバーシのルールに従って決まるため、文章をつくる観点で言えば決して思い通りにはいきません。しかし、多くの場合、元絵の文章の構造を引き継ぐため、読めないほどに文章が壊れることが少なくなります。ですから、取説文としては、部分を差し替えた代替案を提供されることになるのです。 この使い方は、ユーザーズガイド01で紹介した使い方と比べて、偶然性と必然性のバランスが異なります。偶然に左右された結果でありつつ、必然に支えられている割合が大きいため、読める文章が提供される確率が高くなるのです。 そうすると、前回記事のタイトルに示したように「文法リバーシを読む」にあたり、この使い方はとても興味深いバージョンになると思います。なぜなら、勝負のプロセスによって文章の細部が変わるため、それは「読み終えることのない取説」を提供されることに等しいからです。 2人のプレイヤーで勝負する場合は、両者とも勝ちたいと思ってプレイする限り、すべてのカードがどちらか一色になることはまずないでしょう。そして、競争的な要素と思惑、偶然と必然のせめぎ合いの結果として、文章は混ざり合い、常に新しい使い方が提示されることになるでしょう。